新・快楽主義宣言

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zoom RSS エディット・ピアフ〜愛の讃歌

<<   作成日時 : 2007/10/11 01:46   >>

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まさに波瀾万丈の人生とはこのことだ。

エディット・ピアフ。

個人的には、彼女のことは、フランスのシャンソン歌手ということぐらいしか知らなかった。
しかし、今でもフランスでは、彼女は、最も愛される国民的歌手の1人であり、数多くの伝記・伝説が語り継がれている。

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映画は、彼女の臨終間際の場面から、彼女の生立ち、貧民街に生まれ、売春宿で育てられながら、歌手として見出されていくまでの物語が同時並行で、まさに彼女の伝記に忠実に語られていく。

事前の知識が全く無かったからかもしれないが、彼女のユニークな人間性は実に興味深かった。
本当に彼女が、映画で表現されていたような、わがまま勝手で、破滅的な性格であったのだとすれば、その人格形成には彼女の幼少期の環境が大きく影響を及ぼしていたのだと思う。
売春宿で育てられたから悪いというのではない。
売春宿=悪い人間の居場所というのは大人の価値判断による偏見で、必ずしもそこで育った子どもが悪人になるとは限らない。
しかし、お酒やドラッグ(彼女の場合、リウマチ痛を押さえるためのモルヒネ注射であったが)に対して理性で抑制を保つというような行動への価値観は、残念ながら、彼女の生立ちの中では育たなかった。
結果的には、そのことが彼女自身の寿命を縮めていくことになるのだが、もし彼女が特別に裕福ではないにしても、せめて中流の家庭の子として生まれていたら、フランスの音楽史は大きく変わっていただろうし、イブ・モンタンやシャルル・アズナヴールだけでなく、もっと多くの世界的歌手をこの世に送り出してくれていたかもしれない。
そんな風に考えると、彼女の不遜きわまりない言動も、腹が立つよりもむしろ、哀れで気の毒に思えてならなかった。
映画の中で、彼女は公演中に観客の前で倒れてしまい、舞台袖に引っ込んでしまう。そして、彼女の身を案じたプロモーターが、公演の中止を提案するが、彼女は舞台に戻ると譲らない。
その時の彼女の言葉がとても印象的であり、おそらくは、その一言がこの映画全体のテーマを語るものとなっている。
正確には覚えていないが、彼女が半狂乱になりながら訴える「この1曲をちゃんと歌いきらないと、自分の存在に自信が持てなくなってしまう」的なセリフは、まさに彼女の心の叫びであり、エディット・ピアフが、エディット・ピアフであり続けることの出来る理由であったのではないかと思う。
自分に自信が持てなければ、大衆の前で歌を歌うことなど出来ない。
彼女がわがまま勝手で、不遜であり続けたのは、“国民的歌手=エディット・ピアフ”として、その「自信」を保ち続ける為であったからに違いない。
たとえ本人がそのことに対して全く無意識だったとしても。

エディット・ピアフを演じたマリオン・コティヤールの演技はまさに圧巻。
若き日のピアフは、ほぼ、等身大の演技だが、47歳で亡くなるときの彼女は、がんとモルヒネ中毒でボロボロであり、80歳、90歳の老婆のようにも見えるほどの変身ぶりだ。
彼女の演技のリアリティは、単に特殊メイクのお陰だけではないだろう。
しかし、歌声は彼女のものではなく、ピアフ本人の吹き替えらしい。
彼女の演技は絶賛に値するが、歌声はピアフ本人のものをそのまま使っていることを知って、さらに鳥肌が立つような感動を覚えた。
仮にマリオン・コティヤールがエディット・ピアフ張りに歌が上手かったとしても、やはりこの映画では、本人の吹き替えを使うべきだったと思う。
劇中、ピアフは、最愛の男、マルセルを突然の飛行機事故で失ってしまい、おそらくは彼女の人生で最大の悲しみに襲われる。
そして、そんなタイミングで、あの「愛の讃歌」が流れ出すのだ。
実際、「愛の讃歌」はマルセルの死から半年後に録音されている。
その歌声の何と切ないことか。
ピアフの喪失感が本当に歌を通じて心に響いてくる。作り物ではない、まさに本物の歌声だ。
まだ、映画未見の方は、ぜひそんなピアフの歌声に聴き入って欲しい。

エディット・ピアフ。

映画を観る前は、ほとんど興味も無かった。
静かにエンドロールが流れ出した時、彼女の激動の生涯に思いを馳せながら、魂の叫びとも言えるその歌声を改めてじっくりと聴いてみたくなった。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
hiroさんの記事、素晴らしい!
本当に ひとこと ひとことが心に沁みます。
私の言いたかったことが 全部 言い尽くされていると
感じました。
本当に 素晴らしい 鳥肌モノの演技でした。

CD 今度映画館に行ったら 買いたいと
思っています。 
映画ファン
2007/10/13 21:01
映画ファン様、出張中であったため、返事が遅くなりました。
共感を頂いて、本当にありがたいです。
でも、それほどピアフの歌声は素晴らしいと言うことですよね。
僕もCDを買って、再び彼女の歌を聴きたいと思います。
hiro
2007/10/16 02:17

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