○監督 リチャード・アヨエイド
○出演 ジェシー・アイゼンバーグ ミア・ワシコウスカ
○鑑賞日・劇場 10月19日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ
○評価 ★★★☆
さて、TIFFの2本目はコンペティション出品作品。
一言で言えば不思議な映画だった。
物語自体、例えば原因と結果がしっかり構成されていて、明確な解説が出来るようなものでは無く、シュールなストーリー展開と映像に自然と引き込まれた。
先日の不思議ちゃん映画「うたかたの日々」も原作小説があったのだけど、この作品もドストエフスキーの『分身』が原作ということで、映画ファンというよりも、ドストエフスキー愛読家の間でウワサになっていたらしい。
僕は原作を読んだことがなかったので、ネットで情報収集したところによると、ある意味では映画以上に不条理なストーリーのようだけど、本作も冒頭のシーンで、誰もいない車両の中で、主人公のサイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)が無理矢理に席を譲らされるところから、どっぷりとその独特の世界に嵌ってしまった。
舞台設定も過去なのか、未来なのかすら、よく分からず、太陽の日差しが射すような明るい場面も全く無く、白熱電球に照らされた半地下のような世界で物語が進行していく。
いつの時代のものか分からないデカ過ぎるコピー機やコンピューター、酒場では「SUKIYAKI」や「ブルー・シャトウ」等、日本の昭和歌謡曲が流れ、サイモンが着ているスーツも作業着のように薄汚れている。
クローネンバーグとリンチを足して2で割ったような、とにかく独特の雰囲気が妙に僕たち観客を惹きつけるのだ。
ある時、自分にそっくりの人間が突然現れ、自分のこれまでの人生を奪っていく(のっとられていく)という話は、これまでにもどこかで見たことがあるけれど、物語の焦点をハンナ(ミア・ワシコウスカ)との恋愛に絞り込んで見せていくあたりは、コメディとまでは言わないがシニカルで面白かった。
ところで、1本目の「シチリアの裏通り」と、本作はどちらも現時点で日本での公開は未定らしい。
確かに地味な作品ではあるから、興行的に難しいのかもしれないけれど、どちらもしっかりとしたコンセプトとこだわりで作られた作品で、巡り合えてラッキーだった。
街にシネコンがたくさん出来て、日本映画の人気が隆盛になることはとても喜ぶべきことだとは思うのだけれど、今回の2作品のような映画をしっかり上映してくれる単館映画館が再び元気になることを僕は心から望む。
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