○監督 マシュー・ウォーチャス
○出演 ビル・ナイ ベン・シュネッツァー
○鑑賞日・劇場 5月23日 シネスイッチ銀座
○評価 ★★★★★
<ちらし>
個人的な話になるが、基本的には人付き合いが苦手は僕は27年前、新社会人となった時、特に社内の労働組合の存在が、“やたらに「なかま」とか「みんなで」とか”面倒くさくて大嫌いだった。
1年後、その大嫌いな労働組合の役員をしていた職場の先輩から、半ば強引に組合の役員にさせられた。
今にして思えばパワハラに近いが、以来、僕自身、19年間にわたって労働組合運動の世界にどっぷりと浸かる羽目になった。
この南ウェールズの炭鉱組合の執行部が経営者と渡り合う苦労や、頭の固い(役員をやる前の僕自身のような)組合員に自分たちの思いが理解してもらえない憤り、そして困った仲間をみんなで助け合おうとする心意気なんかは、経験した者だから分かるというとおこがましいかもしれないが、本当に心から共感できるものだった。
そしてエンディング近くにLGSM(炭鉱労働者支援レズビアン&ゲイ会)が参加する集会に、その支援のためにウェールズの炭鉱組合が何台ものバスに乗って集団で乗り込んできたシーンは、鳥肌が立って涙が出てしまった。
そんなわけで他の作品に比べて少し贔屓目に評価してしまっているかもしれないが、僕にとっては今のところ、今年一番の映画となった。
キャストはLGSMのリーダー格マークを演じたベン・シュネッツアーは、まだ新人だけど、なかなかの二枚目で嫌味もなく、好印象。
労働組合の役員の一人を演じたビル・ナイは、やさ男なので、炭鉱夫のOBというより、組合プロパーのような感じではあったけれど、映画の後半、同僚にカミングアウトしながらサンドウィッチをカットするシーンがとてもチャーミングで良かったと思う。
本作に限ったことではなく、日本で上映される多くのイギリス映画はとてもキャスティングが地味というか、別の言い方をすればリアリティがあるのだけど、だからこそ見せかけの派手な演出やその場のノリのようなものではなく、真にシナリオの出来や俳優の演技力で観客の心を掴めるのは素晴らしいと思う。
特に本作は「実話」なので、さらに説得力がある。
いずれにしてもイギリスの炭鉱を舞台とした映画には名作が多い。
例えば『リトル・ダンサー』や『ブラス!』はその代表であり、特に『ブラス!』は今でも僕の好きな映画のベスト3に入る作品だ。
今回の『パレードにようこそ』も、そんな名作に十分、肩を並べられる作品だと思う。

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