グレース・オブ・ゴッド 告発の時

監督  フランソワ・オゾン
出演  メルヴィル・プポー ドゥニ・メノーシェ
鑑賞日 7月24日
劇場  シネ・リーブル池袋
評価  ★★★☆

<パンフレット>

グレース・オブ・ゴッド.jpg

フランソワ・オゾンも、僕にとっては作品が公開されるとキャストや内容を問わず劇場に足を運ぶ監督の一人なのだが、今回のような本格的な社会派ドラマは初めてだったと思う。

『ブレナ神父事件』は、かつて日本でもニュースとして報じられたが、カトリックの国であるフランスでは国を揺るがすほどの一大スキャンダルとなった事件だ。
しかし、まさにこの点が他の映画監督とは違うオゾン監督の特にエキセントリックなところなのだが、この『ブレナ神父事件』は、いままさに係争真っただ中の事件なのだ。

もし、これが日本国内だと、裁判に影響があるとかで公開できなくなるのではないかなと思う。
このタイミングでこの事件を映画の題材にするオゾン監督にも驚きだが、それを許可し、しかも公開後、映画に対する批判よりもむしろ、教会の教材にしたいという意見まで出たというフランスという国自体の進歩性に驚かされた。

個人的な感想としては、正直なところ期待していたような“フランソワ・オゾンの映画”ではなかったけれど、その挑戦的な素材の取り上げ方と、過剰な演出を極力排除したストーリーの組み立て方はさすがだなと思った。
その上で、一つだけ納得できなかった点がある。
それは、メルヴィル・プポーの演じたアレクサンドルの態度が映画の前半と後半で大きく変化したようにみえたことだ。

実際にモデルとなった人物がどのような関わり方をしていたのかは分からないので、あくまでこの映画の中の話としてだが、映画の中のアレクサンドルは、当初、あれほどブレナ神父本人や教会上層部に対して強硬な姿勢をとっていたのに、フランソワ(ドゥニ・メノーシェ)の登場によって、マスコミを通じた大きな社会運動になろうとした途端、急に腰が引けてしまったような感じだった。
聖職であるべき教会と虐待を受けた被害者という1対1の有利な状況では声高に容赦なく相手を責め立てるのに、そこに第三者が入って、自分に対しても誹謗中傷が返ってくるリスクを負いそうになると消極的になってしまうなんて・・・と感じてしまったのは僕だけだったのだろうか。

僕自身、無宗教のミーハーだから、神社仏閣を参拝するのは大好きだし、その時にはいつも熱心に「お願い」はするけれど「お祈り」はしたことがない。
なので、どんな宗教であろうとも、“敬虔な信者”の発想や考え方はどうしても理解できないところがあるのだが、映画の最後にオゾン監督がアレクサンドルに対する問いかけという形で、映画を観ている私たちに問いかけたであろう「いまでもあなたは神を信じていますか?」という言葉は、とても強いメッセージが込められているような気がした。

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